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憧れの女性像を叶える羽織
黒地系の羽織になぜか心惹かれます。その理由は、娘時代に父の画室で眺めた鏑木清方の「築地明石町」にあります。水色の小紋にさらりと黒羽織をまとった女性の姿に「なんて美しいの!」と釘付けになったものです。どんなきものも艶っぽく仕上げる羽織の「黒」と、小さく効かせた赤がはっとするほど色っぽくて……。この絵から受けた美意識は、今も私のDNAに刷り込まれているかもしれません(笑)
ご紹介の墨色の雪輪の羽織は、娘時代のきものの「派手隠し」に誂えたもの。師走の気忙しい中にも、しっとりとした風情を感じさる母の万筋の江戸小紋にもぴったりです。合わせた帯もやはり母譲りの紬の帯。胴前とお太鼓に継いだ跡があるため、何かしらいわれのある古布なのでしょう。今冬はパーティや忘年会もままならないため、こんな静けさを感じさせる装いを妄想コーディネート。帯揚げに効かせた赤が、前述のごとく私なりの美意識です。


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